タイトルの出典はかの三国志ですが、内容はストイックなまでに熱帯魚ですので
ご安心ください。
相変わらず魚がいませんが、来る再開の日のために勉強はしています。
以前に自分の水作りの話をだしましたが、最近は御指摘を受けたことなどもあり
いろいろ考えをあらためています。(前回記事は
こちら
)
アピストやっている方には当たり前のような話もいっぱいですが、アップする魚もいないので
今回は本気で水づくりの話を現在の自分の考えられる範囲で書いてみたいと思います。
自身の向上のためのまとめでもありますゆえ、
ウチではこうしてるけどなどあればコメントも是非お待ちしています。
そして、アピストの繁殖、育成に本気になってきた方の参考になればと思います。
うまくいく限りすべて正解ですので、御自身の考えを大事していただきたい。
以下はあくまで私的な考えが多いに含まれる内容です。差し引いてくださいませ…
まず大前提にして最大の壁なのですが。。。
頑張って水質を調整するのは良いですが。。その水を安定させられますか?
どんなにいいものを作っても維持管理できなければいけない。
管理できないようなものを作ってはいけません。
水質といえば何をみなさんは考えるでしょうか?
アピストといえば低pHと思い浮かぶでしょう。
ただ、この記事を読まれるような方でしたら、
それだけでは駄目なことを御存じな方、または気づかれた方と思われます。
Tetra本などには現地の生息データも示されており、すべからく低pHかつ低KH、低GH,低TDSです。
はっきり申し上げてかなり極端な水です。特にネグロ系。あそこで生きてる方が変!
普通の水道水で事足りるかといえばNOです。
では、どうすればこのような水を得ることが出来るのか?
今回の記事の目標は低TDSの水の作成です。
まずは各水質メーターのおさらいです。
pH:水素イオン濃度です。いわずとしれた。H+のことですね。多ければpH下がります。
TDSには影響しない。
KH:炭酸イオン濃度です。アクアリウムの機器や試薬では緩衝作用を持つ物質全体の量を
見いているともいわれてますが、計測する試薬や機器によるでしょう。
(緩衝作用とはpHを下げにくくする力で、具体的には炭酸や重炭酸)
→なんかはっきりしないんですよねー。TDSには影響する
GH:カルシウムイオンとマグネシウムイオンの総量でTDSに影響する。
ちなみに高カルシウムと高マグネシウムはドワーフシクリッドの卵の膜には有害なようです。
TDS:一般の機器では導電率から導かれる陽イオンと陰イオンの総和。でおもに以下のイオンです。
陽イオン:ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、鉄、銅
陰イオン:フッ化、塩化、臭化、ヨウ化、硫化、塩素酸、硝酸、過マンガン酸、硫酸、リン酸
といった無機イオンです。(自分が参考にしている資料では有機イオンは含まない)
ここから一つ言えることは。。TDSが低くてKH,GHが高いということはあり得ない。
逆に、GH,KHが低くてもTDSが高いことはある。
では、いかにしてこの水へ至るかということですね。
Yome水槽の反省点として薬剤いれすぎでは説を唱えました。
pH下げたり、中和したりするためにいろいろなイオンが追加されたわけで、
最終的にはTDS上昇を招いたのではということです。
ここをなんとかしなければ低pHかつ低TDSにはたどり着けないわけですね。
まずアピスト飼育でよく出てくるアイテムについてコメントしてみたい思います。
①活性炭
いわずとしれた活性炭様です。みんな使ったことあるんじゃないかと?
機能としてはアクや黄ばみをとることでも明らかですが、有機酸と酸化物の吸着です。
ただしキレート化された金属(無機物)は有機物扱いのようで吸着されるようです。
一般に除去しやすい物質は
ヒ素、漂白剤、クロラミン、塩素、クロム、色素、金、殺虫剤、臭い
などでアンモニアはあんまり吸着できないことは記しておきたいと思います。
結論を申しますと、TDSにはあまり影響しないです。
(後述しますが、使い方によっては逆効果)
②ブラックウォーターのもと
タンニンをはじめとする有機酸の濃縮エキスと考えられ、TDSが下がると記されております。
しかし個人的な経験では下がりませんでした。ものによってはリン酸が含まれるようなのでコケ注意。
③陽イオン交換樹脂式浄水器
簡単に言えばカルシウムやマグネシウムをナトリウムイオンに変えます。
カルシウムイオン、またはマグネシウムイオン1個に対してナトリウムイオンは2個で交換されるので
総合的にはGHは下がりますがTDSはあがります。あまり有効とは考えにくいですね。。
④RO水 逆浸透膜濾過水
こちらはいわずとしれたRO水ですね。海水用のやつですが、昔からあるのはこっちだと思います。
98%の無機物、95%の有機物が除去されます。TDSはほぼ0です。これは生存に必要な分すら残りません。
アピストは弱酸性の軟水をこのみますが、完全な純水では生きられません。
これを割り水や足し水につかうのはいいアイデアの一つだと思います。
また、
最近は淡水用の製品もあるようですね
こちらは
"水道水に含まれる残留塩素や重金属を除去し、硬度成分であるカルシウムやマグネシウムを
完全に取り除くのではなく、30~50%程度残して除去することで、軟水環境を好むエビや魚や水草に
最適な環境水を提供することが可能となります”
とのことなので、このままでも使うことはできそうです。
欧米でドワーフシクリッド飼育といえば、もっとも一般的なのはRO水(純粋)と水道水の混合なようですので、
2つ目の浄水器は欧米的には最適なもののひとつかもしれませんね。
⑤ピート
ひとことにピートといっても様々ですが、ドワーフシクリッド飼育においてこれに優るものは
結局まだないと考えています。
EheimやSerraのやつはどっちもよかったです。そんなに違いを自分は感じませんでしたが、
やはり値段が気になる。。。
そのため、安い園芸用のものを試しましたが、
肥料が入っていたようでピート水のほうがTDSが上がるという事件も経験しました。
自分にとってベストなものを探されるのがよろしいかと。混ざりものに注意です。
あとはちゃんと水流つくらないとちゃんとピートが効いた水は出来ません。
ピートの作用は何かといえば。。。
カルシウムとマグネシウムを水素イオンに交換します。pHがさがりGHもさがりますね。
そして、水素イオンはTDSには含まれませんのでこの結果TDSも下がります。
ではKHはでどうでしょう?pHが下がってくると炭酸イオン(CO3-)や重炭酸イオン(HCO3-)
H + CO3 → HCO3
H + HCO3 → H2O + CO2
とH+を消費し何とかpHが下がらないように頑張りますが、H+が供給される限り消費され
そのうちになくなってゆきます。これは他のリン酸などでも同様です。KH下がりましたね。
そして、かわりに有機酸であるフミン酸、フルボ酸が漂います。あとタンニン酸
この有機酸の供給はROではできないことになりますね。
注意点としてはレイアウトで石などいれているとものによっては炭酸カルシウムなどを水中に
補充しつづけるため折角作ったこの水が維持できません。
アピスト水槽でレイアウトに石組みや底床に大磯砂使う場合は十分に酸処理することオススメします。
こんなとこでしょうか。。。?
この辺を組み合わせて水を狙ったものにしてください。
そして維持するためにはレイアウトの素材の影響ももちろんですが、
バクテリアの安定、餌の量など様々なものが関与し続けます。努力あるのみ!
また、直接ピートを水槽に入れる方法は水質の安定が困難ですので自分はしません。
以前、調子のよい水槽から水をとって他の水槽に入れるということをしていましたが、
Anのセミナーに一度参加した際に気づかされまして、水質みたところ。。。
なんと消えていたアンモニアが急上昇することが毎回ではないですがありました。
おそらくバクテリアの組成がかなり異なっていた水槽だったのでしょう。。。
どっちかのバクテリアが駆逐され死亡。
有機物に分解され結果アンモニア発生しアピも死亡といったところでしょうか。。。
ここから言えるピート貯め水の注意点はバクテリアを発生させないことですかね?
今のところ帰国後は
カーボン&コットンフィルター通した水をピートで処理して使おうと思っています。
もちろん水槽には石なしです、底床は考え中。
初心に帰り酸処理した大磯もいいかなと思ってます
ちなみにこのピート処理とカーボンフィルター処理の順序を逆転させると。。。
せっかくの有機酸が活性炭に吸着されpHがあがってしまうでしょうね!
皆様の水作りの参考になることを祈ります。
今回の記事作成にあたり以下のサイトにお世話になりました。御礼申し上げます。
In writing this article, I appreciate Niels Jensen for the following his works.
ⅰ)The Importance of Total Dissolved Solids in the Freshwater Aqurium
ⅱ)Peat Water for the Aquarium
おまけ さらに難しめ
pHが下がってくるとCO3やHCO3は消費されます。これにはこれらのイオンにはそれぞれの反応に
定数があるからです。
たとえば。。。H + HCO3 ⇔ H2O + CO2
この反応はpH6.3程度で右向きと左向きの反応速度が等しくなります。
つまり、pHが6.3より低ければ反応はどんどん右へ進みHを減らして6.3へ近づこうとします。
逆にpHが6.3より高ければ左へ進みHを増やしてpHを下げようとします。
このような数値を平衡定数pKaといいます。温度などにより変化する定数です。
H + CO3⇔HCO3 の平衡定数は10.3ですから水槽内では
CO3イオンは強烈に右側へ動きすべてHO3イオンになっているでしょう
さてでは硝酸塩はどうでしょうか?われわれの水槽では有機物の最終代謝産物であり
pH低下の要と考えられています。
H + NO3 ⇔ HNO3 PKaはなんと-1.32つまり水槽内では必ず左向きに進みます
強力にpHを下げる物質です。
では自然界では何でpHがさがっているのか?
アマゾン川が硝酸で成り立っている。。。わけがない。
0ではないでしょうが、もちろんメインじゃない。
他にも炭酸、リン酸などの低分子もありますが有機酸とくに腐植物質が主です。
具体的にはフマル酸フルボ酸とかフミン酸とかです。
それぞれ高分子でありさまざまな形態を持つためpKaは一概に言えませんが2ー6のあいだのようですね。
つまり構造次第ですが、pHを2ー6に近づけたがる物質です。もちろんTDSには含まれない。
なんか・・・アピストに良さそうでしょう?でも有機物である以上分解されるのかな?
頑張れと思ったら是非応援ください!
12/23/2013
Tags :
水質・器具
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2 Comments
ため水にはバクテリアを発生させないように、エアレーションはしないほうが良いらしいです。
Reply Deleteおっしゃるように、点で水質をつくっても維持・安定できなければ意味ないですね。少々エサをいれても、アンモニアがでず、pHが変動しない水槽環境をつくるには、結局、時間、かな。
taketatuさん
Reply Deleteコメントありがとうございます!
いろいろ悩みますが、時間ですよねー。同感です。
また一から作り直す苦労を思うと今から涙がでます。。
でも、ちょっと楽しみです。
やってみたかったことがいっぱいあります。
やっぱりエアレーションはしないほうがいいんですかね。
どれくらいかわるのでしょうかね?
嫌気性菌にはどうすればなどなど興味がつきませんね。
あとは、貯め水に殺菌灯あてたらどうかなとか考えてます。