火曜日, 11月 13, 2012

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警鐘?新種記載の妙。

さて、「はじめてみよう」という始めたからにはちゃんと続けるべき企画を
ブチ上げている自分ですが、ちゃんとやりきれるのか早くもとても不安です。
今回は「はじめてみよう、水作り編」の前に
いつもの?噛み付きグセを。。。個人的には当ブログ史上もっとも小難しい話になります。
(*今回は他のサイトからの引用が多々ある記事です御迷惑アレば、連絡願います。)


AnのNEWSでも出ていますが、
アピストの新種記載がラッシュです。なんなんだぁ?

8種類の新種が記載されました:cichlidsforum参照
Apistogramma piaroa sp. nov.
(lower Ventuari, lower Guaviare, Autana and Cataniapo Rivers);
Apistogramma flabellicauda sp. nov.
(lower and middle Ventuari, upper Orinoco above its confluence with the Ventuari and Autana River);
Apistogramma lineata sp. nov.
(lower Atabapo);
Apistogramma minima sp. nov.
(lower Capanaparo River, area around Puerto Ayacucho in the Puente Paria River, middle Ventuari and upper Orinoco Rivers in creeks around the interior delta of the Orinoco-Ventuari before its confluence with the Bita and Guaviare Rivers);
Apistogramma caudomaculata sp. nov.
(Candela, Arature, Upata and Caura Rivers);
Apistogramma intermedia sp. nov.
(Caura River and Orinoco River Delta);
Apistogramma nororientalis sp. nov.
(rivers draining into the Gulf of Paria - San Juan River and Orinoco River (Uracoa River)
Apistogramma pedunculata sp. nov.
(Cataniapo and Caura Rivers)

新種とのことですが。。。正直胡散臭いと感じてます。
もちろん理由を述べます!

自分は生物学者でも遺伝学者でもなんでもない趣味人ですし、
以下はその人間の発言ですから異論、反論があってもっともの話です。
そもそも大間違いだったらごめんなさい。

まぁこんな事考える奴もいるんだなと思っていただければ十分で正しいなんてこれっぽちも思いません。
でも、今がおかしいと思ってはいます。「言論の自由」ありがとう。
そして、『愛するアピスト達よ、君たちにはどーでもよくめーわくで興味が無い話だ。』

でも、語る。
そもそも『種』とはなんでしょうか?
ダーウィンの種の起源などででてくる『種』のことでタネの話ではありません。
Apistogramma agassiziiとApistogramma bitaeniataは違うよって話です。

追記分(青字)
以下の話は種差の定義をマイアの生物学的種差に当てはめてみたものです。
たまにはものの見方を変えてみよう!

(一般にアピストの分類は系統学的種差で語れますので、そのあたりの解釈にはご注意ください。)


種の違いをいかに定義するかによって、種の同定は当然異なりますが、
自分が知る範囲で最も一般的な種差の定義は

端的には生殖能力を持つ子孫を残せるかどうかで決まります。
さらにシンプルに!
交尾や授精によって仔を作れるならば、同じ種類ということになります。
11/20追記:明記しましょう!
異種間では仮にF1とれてもそのF1間でF2はとれない!


ありませんか?
F1同志を混泳させてたら、
なんか違う種同志で生まれてしまった。。。雑種ができちゃった。。。みたいなこと。
ウチでも気をつけてはいますが、
クルジィタイプが混じってしまった水槽ではエライ事になってます。

ここから言えることはこのクルジィタイプは生物学的に一部違えど同種であるということになります。
この場合この2タイプはどう表現されるのか?
リンネの二名法を用いればどちらもAp.cruziでいいんでしょう。同種です、以上。
・・・
・・・
『でもでも、ここが!あそこ!あんなに違うじゃないか!』同感です。
はい、わかりましたなんて死んでもイイません。

では、一般にこの場合どう表記されるべきなんでしょうか?

三名法というとてもポピュラーな記載法があり、亜種としての記載としてとても便利です。
このままAp.cruziを例に続けます。
標本になったRio Mazanの記載種を Apistogramma cruzi cruzi と表記します。(模式亜種)
で、我々が別種だ別種だと騒ぐけど間に子供がとれてしまうpapageiやらpebasは亜種と捉えます。
すると。。
表記は例えばAp. cruzi papageiiだとかAp. cruzi pebasiとして小亜種として記載されます。

これは一般的な表記で命名規約にも含まれます。
例えば、北米大陸のオオクチバス(ブラックバス)は二名法でMicropterus salmoidesです。
ですが、フロリダ半島に棲む集団は生物学的少し異なることがわかり
亜種小名をつけ Micropterus salmoides floridanusとなりました。
image

で、フロリダ半島以外のものは元の小種名を重ねてMicropterus salmoides salmoidesです。
仮に、分類の見直しによってフロリダバスが種に昇格することがあれば、
亜種小名が種小名に昇格してその種名は Micropterus floridanus となるんです。
(*琵琶湖でも交配がDNAレベルで確認されていますので別種になることはないですが。。。)

堅い話ですんません。。。何が言いたいって。。。。
今回の新種もそうですが、いままでの分類だってそうですが、、、
そいつ本当に新種ですか?せいぜい新亜種じゃないですか?ってことです。
この新種達の飼育経験ないのであれですが、今回の新種が認定されちゃうんだったら、
AnのNEWS通りできっとオリノコとネグロのsp.Breitbindenは別種で、
ラインタイプとカッサーボタイプとマリエタイプのメンデジィも全部別種
いわゆるアガシジィとテフェタイプも
ルエリンギィのアブドミナルストライプある奴と無いやつもゴツメのやつも
クルジィのペバスもパパゲイもアルトタピチェもモラードもなにもかも全部別種です。
つまり種が違うんですから、子は生物学的にはとれません。
おかしくないですか?どうしてアピスト業界は亜種名を飛ばしていくんですかね?

ただ、逆もあやうい
経験無いですが、昔パウキとメンデで、そしてミウアで子供とれたという話を聞きました。
もし事実なら同種で亜種同志だということになっちゃうから
Apistogramma mendezi mendezi とApistogramma mendezi paucisquamisi になります。
そうなるとマリエメンデなんかは
Apistogramma mendezi mendezi var.marieとかいう表記になりますかね?(var.=変種)
ただ、もし本当に間に子が取れるなら正しい表現でしょう。
同様に
Ap.macmasteriとviejitaなどもこういう目で見れば別種とまでは言えないかもしれません。
(見た目などいろいろ異なることは事実ですが、子供のとれるとれないはどうでしょう?)
自分で書いても抵抗もある話ではあります。

自分のブログは本当に困ったもんだと思います。
別にだれかに喧嘩を売ってるわけでもなんでもなくて、
アピスト学術界のこの流れや過去の遺産に勉強不足なりに疑問を持っているだけです。

じゃあ、次の例はどんなときに別種と認定されたかですが、
テントウムシの話です。

ナミテントウというテントウムシがいるそうです。
これは従来1種とされていたのですが、成虫はそっくりですが幼虫の形態が異なる2型があります。
のちの研究でそれら2型は完全に生殖隔離をした別の集団であることが判明し、
ナミテントウとクリサキテントウの2種に分けられました。
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丸がついてる2つはクリサキテントウだそうです。(わっかんない?)
ただ、成虫も前ハネの形状など少しずつ差異はあるそうで、見分けが付く人にはつくそうです。
なんか、アピストと似た話ですね。「わかる人にはわかる」

ただ、種を分かつことになった理由はその玄人的な評価ではなく
形態的に微妙な差しかないのに完全に生殖隔離していて“生物学的種”と認められる関係
であるためです。

ど、どうでしょうか~?ライン系じゃないメンデジィタイプのアナタ。。?

Ap.mendezi
こう言われてる気がします。

<早くも追記>
語弊がないようにですが、
自分はなにもパウキとメンデやマックとヴィエジタが同じだなんて思ったことはないです。
ただ、彼等や我々の言う種差が一般生物学的には種差ではない場合があるということ、
我々が種差、地域差、個体差だと論ずるものの間に
より一般レベルの、国際命名法レベルでの差異(小亜種、記載亜種という概念)が存在する
ということを書いてみたかったためこの記事を作りました。他意はなし!全てはDNA解析を待つ




今回の記事作成にあたり
最も参考にさせていただいたサイト?文責者である横川浩治さまに敬意と感謝を表します。
ほとんどパクリでゴメンナサイ!だって素晴らし過ぎる内容で。。。
生物の名前と分類http://www.kanpira.com/iriomote_museum/scientific_name.htm


次回は水作ります。あと、笑劇の新企画をさらに開始予定です。

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12 Comments

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こんばんはー^^
なんだか、カッコいい記事ですね。知的で攻撃的で。
アピストブログでは明らかに異質な・・・笑
いつも感じているんですが、情報収集の範囲に
センスを感じます。
記事を書きながら深く掘り下げていく感じですか?
それとも、普段からそんな事を情報収集しているんですか?
そこらへんに興味あります^^
今回も楽しませて頂きました。面白かったです!

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quniogaさん
コメントありがとうございます?
920blog水槽リセット楽しみにしてます!
なんだか、ほめられてしまったような気がします。。
恐縮です。
自分の記事の書き方ですか。。。
興味が湧いたことはある程度納得行くまでは
本やサイトをブックマークして調べてます。
たまにメモも取ります。これは単純に興味と備忘録で。
ネタは日々の飼育での悩みや
AnのNEWSとかで志籐さんがアナーキー?なことを書いてると
そのへんの事情に興味がわき調べることが多いですね。
その中身の全部が記事になってはいないです。
今の世に賛成でも反対でも自分なりの考えというものを
示せない場合は記事にしてません。
自分の考えを呈示できるかなと思えたら
頭を整理しながら3時間くらいかけてこういう
エキセントリックなネタを書いてます。
アピスト始めてまだ10年、ブログ始めるまで
まともな仲間もおらず孤独にこの趣味を突き詰めて来たので
誰に聞くでもなく答えを本とインターネットに求め続けました。
その結果、こんなモノの見方になったのかなぁ
なんて思ってます。で、それを世に問いたくなったんです。
違ってもいいし、違うなら違うと知りたいと思ってます。
長文失礼しました。答えになっていなかったらスイマセン。

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「生殖能力を持つ子孫を残せるかどうか」、すごくシンプルで分かりやすいです!
二名法、三名法というのも初めて知りました。
三名法で各学者が意識統一して記載していけば、すっきりしそうですね。実際は、、、難しいのかもしれませんが。
アピストの種別、ということに最近興味を持ったばかりなので、とても興味深い記事でした!!
これからの記事にも期待しています(^O^)

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noramさん
いつもコメントありがとうございます。
この「生殖能力を持つ子孫を残せるかどうか」という
種の分類はマイアErnest Mayerが1942年に示した
生物学的種概念という定義です。(教科書的なもの)
明快だと思いますが。。。問題もある
①どのくらい交雑が困難なら別種といえるのか
②外見の差を完全に無視していいのか
などです。
現在のアピストの分類は主に系統学的種概念によります。
定義から性を外し共通の特徴をもつものは、共通の祖先に
由来していると考え、コレ以上絞り込めないところまで
絞り込んだ到達地点が種です。
つまり、このようにどんどん新種が出てくるということになる。
それを良しとする概念です。
いいか悪いかじゃないです。そういうものです。
コレが今のながれなのかもしれません。
問題になってるのはその運用の仕方ですよね。
つまり、はっきりさせるべきは
アピストグラマ属についての種差を定義することです。
今回あえて生物学的種概念の立場をとってみました。
視点を変えるのが好きなんです。

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大変丁寧な回答ありがとうございました。
想いが伝わってくる、真摯な内容で感動です。
夏休みの絵日記みたいなブログは読み手書き手ともに
気楽で居られるのでいいなと思う一方、
ychmltさんのような情報収集のソースとしての価値ある記事は
あまり見かけないので、書き手なりにある程度深く情報収集して分析した結果
主張しているアウトプットに触れると応援したくなります。
賛否は置いておいて。。。
これからも楽しみにしてマース!

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こんにちは。
spが整理されてわかりやすくなったのかと思えば
逆に混乱を招きかねない現状ですね。
spタメなども現地で分化、
交雑統合を繰り返しているのかもしれません。
DNA解析、必要ですね。

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quinogaさん
御返事ありがとうございます。
自分のこんな突拍子のない話が受け入れられるなんてことは
ないですし、今更、生物学的種差で分類するなんてなったら、
それこそ大混乱です。
ただ、我々はよく「別種だ」とか「地域差だ」とかいっている
その言葉の意味することを問いかけて見たくなったんです。
「そもそも我々の行う分類とは何か?」
ありがとうございます。
これからもたまにこんな記事を書くと思います。

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GRCさん
こんにちは!
こんなしょうもない記事にまでコメントありがとうございます。
sp.TameもGRCさんも御指摘のように数タイプいるのかな。。。
という印象が拭えません。
このままだと交配が進めば進むほど種が増え続けますね。
困っちゃいますよね。
DNA解析は必要です。
でも、どれくらいの塩基の変化を種差にするかという問題が
また生じることになる。
常に自然の選択を受け変化していく生物を
人の尺度で計るのは無理なんでしょうね

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たしかにアピストで亜種扱いになっているものがありませんね。
個人的にはアピストは亜種がたくさん存在していると考えています。
たしか亜種レベルだとF2以降も子どもがとれるはずだったと記憶があります。
昆虫の世界でもDNA解析が進んできていると聞いています。
早く魚類の世界でもDNA解析がすすんでくれるといいですね~!

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apisto_gallreyさん
こんにちは!コメントありがとうございます。
亜種という考え方そのもがマイアの生物学的種差よりの見方
なんですよね。現在のアピス学術界は系統学的に見るのが
主流のようですから、種が乱立するのは必然ともいえそうです。
追加で調べていたら、他にもいろいろ気になることを見つけたので
このネタはもう1回くらい書いてみようと思ってます。
身も蓋もない話でスイマセン。
きっとクワガタでも似たような話はあるのかなぁ
なんて、想像はします?

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個人的な偏見で書き込みいたします。
この記事激しく同意します!!
アピストに亜種がなくほとんどが種記載なのは、
アピストの分類学が主流ではなく、学者達が名をうりたい
残したいの気持も含めて種になっていると思います。
��亜種より種の方が名前のこりますからね)
それを否定する(シノニムにする)のも膨大な時間と研究がいるはずです。とこんな感じで記載されてそのままなのが多いと思います。
この記事で一代交配(F1は生まれるがF2は絶対生まれない交配)の記述が無いのが残念です(次回期待)
魚のDNA鑑定はデータを集めている最中だと思います
基本データを集めるのに5~10年位はすぐにかかると言ってました。
いつの日か完成しれば現在の種が半分位に統一され後は亜種に分類される事を期待します。

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HIROさん
あついコメントありがとうございます!
次回にも書きますが、とりあえず追記で明記してみましたw
クルジィタイプとれちゃうんですよねー、禁断のF2がぁぁ
分類なんて人間のエゴですが、
どうせやるなら魚に対してフェアであるべきだと思ってます。
また、書きますからよろしくお願いします!

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